ベトナムから海外へ製品を送るお仕事をしているけれど、「パレットって何を選べばいいの?」とお困りの方はいませんか?このガイドは、そんなあなたのために作りました。輸出に使うパレット選びは、荷物を安全に届け、コストを抑え、ルールを守るためにとても大切です。このガイドを読めば、パレットの基本から、状況に合わせた選び方まで、サクッと分かります。
なぜパレット選びが大切なの?
輸出に使うパレットを適当に選んでしまうと、輸送中に荷物が壊れたり、余計なコストがかかったり、面倒なことになりかねません 1。特に海外への輸送は、距離も長く、荷物の積み下ろしも多いので、しっかりしたパレットが必要です 1。パレットの素材や形は、輸送費(特に航空便の重さ 4 やコンテナのスペース効率 5)や倉庫での作業効率 5 にも影響します。また、「ISPM 15」のような国際ルールを守らないと、荷物が止められたり、送り返されたりすることもあります 8。良いパレットを選べば、荷物は安全に届き、お客さんもハッピーになります 2。
第1章:輸出の梱包、これだけは知っておこう!
1.1. 輸出梱包って何のため?
輸出のための梱包は、国内向けとは少し違います。
- 荷物を守る!: 一番大事なのは、輸送中の衝撃や振動、落下、圧力などから大切な製品を守ることです 1。さらに、船便での塩水を含んだ空気や、温度・湿度の変化による水滴(結露)、虫などからも守る必要があります 2。
- 効率よく運ぶ!: コンテナやトラックのスペースを無駄なく使い、輸送コストを節約します 5。パレットを使えば、フォークリフトでの作業も早くなります 5。軽い段ボールパレットなどは、特に飛行機での輸送費削減に役立ちます 4。
- コストを管理!: 梱包材の費用と、荷物が壊れたときの損失(再送費、修理費など)のリスクのバランスが大事です 2。頑丈すぎる梱包は高くつきますが、弱すぎると荷物が壊れてもっと高くつきます 7。安いパレットが必ずしもお得とは限りません。
- ルールを守る!: 特に木製パレットを使うときは、「ISPM 15」というルールを守る必要があります 8。これを守らないと、通関でトラブルになることも。相手国のルールや、特定の製品(食品など)の表示ルールも守りましょう 13。
- 作業しやすく!: パレットがあれば、フォークリフトなどで簡単に運んだり 15、倉庫できれいに保管したりできます。
1.2. 輸出梱包と国内梱包、何が違う?
- 距離と回数: 輸出は国内よりずっと遠くまで運び、何度も積み替えられます。だから、もっと頑丈な梱包が必要です 1。
- 環境: 船便なら湿気や塩水 2、飛行機なら気圧の変化など、厳しい環境に耐えなければなりません。サビ止めや湿気対策が必要なこともあります 2。
- ルール: ISPM 15のような国際ルールや、相手国のルールを守る必要があります 10。
1.3. ベトナムからの輸出で気をつけること
- 気候: ベトナムは暑くてジメジメしています 17。木製パレットはカビやすく 15、段ボールは湿気で弱くなるので注意が必要です 4。湿気に強いプラスチック 18 や合板パレット 22、またはしっかり湿気対策(バリア材 10 や乾燥剤 10 など)をした梱包が良いでしょう。結露にも注意が必要です 3。
- インフラ: ベトナムの道路や港は発展中ですが 24、場所によっては揺れが大きかったり 27、荷物の扱いが少し雑だったりする可能性も考えて、丈夫なパレットを選ぶと安心です。遅延の可能性も頭に入れておきましょう。湿気と物理的なダメージの両方に備える必要があり、少し高くても丈夫なパレット(プラスチック、処理済み木製・合板)を選ぶ価値があるかもしれません。
- ルール: ベトナムから木製パレット(合板などを除く)を輸出する場合、基本的にISPM 15のルールに従って熱処理または燻蒸処理と適切なマークが必要です 8。食品 14 や免税品 13 など、製品によっては特別な梱包ルールがある場合も。輸出加工企業(EPE)は特別な通関ルールがあります 30。
- その他: ベトナムで手に入る梱包材の品質にばらつきがある可能性も。標準的なパレットサイズ(1100x1100mm、1200x1000mm 31)は普及しているので 26、作業はしやすいでしょう。
第2章:パレットの素材、どれがいい?
パレットには色々な素材があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
2.1. 木製パレット
- 特徴: 木でできた、一番よく使われているパレット 32。サイズもオーダーしやすい 18。重さは木の種類や作りで変わります 32。
- 良い点: 安い(特に松や杉) 18、丈夫、荷物が滑りにくい 19、修理できる 18、暑さ寒さに強い 15。
- 気になる点: ISPM 15の処理とマークが必須 8、湿気でカビや虫がつくことがある 15(特にベトナムでは注意)、木くずや釘が出ることがある 15、重さやサイズにばらつきが出やすい 18、木の匂いがつくことがある 18、捨てるのにお金がかかることがある 15。
- 主な使い道: 一般的な荷物、重いもの、コストを抑えたいとき、紙製品(滑りにくいため 31)。
- 値段の目安: 安い〜普通 18。ISPM 15処理費がプラスされます。
2.2. プラスチックパレット
- 特徴: プラスチックでできたパレット 20。サイズや重さが均一 18。木製より軽いタイプが多い 18。重ねてコンパクトになるタイプ(ネスティング)など、色々なデザインがあります 41。
- 良い点: ISPM 15不要 16、長持ちする 18、水や薬品に強く、カビや虫の心配なし 18、洗えて衛生的(食品や薬品に◎ 16)、安全(ささくれや釘がない) 19、リサイクルできる 16、サイズや重さが均一(自動倉庫向き 16)。
- 気になる点: 値段が高い 16、壊れると修理が難しい 18、滑りやすいことがある(滑り止め加工が必要な場合も 19)、極端な温度変化に弱いことがある 19、静電気が起きやすいことがある 15、オーダーメイドは難しい(金型が高価) 18、捨てるのが大変なことがある 16。
- 主な使い道: 食品、薬品、化学品、電子部品、航空便、衛生管理が大切な場所、繰り返し使う場合(回収システムがある場合)。
- 値段の目安: 高い 18。でも長持ちするので、トータルコストは安くなることも 38。
2.3. 合板パレット
- 特徴: 薄い木の板を貼り合わせた合板 16 で作られたパレット。表面が平らで滑らかなことが多い 48。木製より軽い場合があり、湿気を吸いにくい 16。
- 良い点: ISPM 15不要(加工木材だから) 16、比較的軽くて丈夫 16、湿気にやや強い(紙製品などに◎ 22)、表面が滑らか 48、サイズをオーダーできる 16、プラスチックより安いことが多い 22。
- 気になる点: 木製より衝撃に弱いことがある 33、湿気が多いと傷むことがある 16、端が壊れやすい、修理が難しいことがある、木製より高いことがある 22(LVL材などで安くできる場合も 47)。
- 主な使い道: 輸出(ISPM 15不要のため)、紙製品、電子部品など平らで乾いた面が必要なもの、航空便(軽い)。
- 値段の目安: 普通。木製より高く、プラより安い傾向 22。LVL材などで安くなる可能性も 47。
2.4. 段ボールパレット
- 特徴: 段ボールでできた、とても軽いパレット 4。紙管などで補強されていることも 20。
- 良い点: ISPM 15不要 4、非常に軽い(航空便に◎ 4)、安い 4、リサイクルしやすい(古紙として) 4、サイズをオーダーしやすい 4、安全(ささくれや釘がない) 4、使い捨て(ワンウェイ)向き 4。
- 気になる点: 丈夫さで劣る 4、水や湿気にとても弱い(濡れると強度が激減 4。ベトナムの気候では特に注意!)、屋外や湿気の多い場所はNG 4、重いものには向かない(丈夫な設計のものもある 4)、修理できない 18、荷物の置き方が悪いと凹むことがある 4。
- 主な使い道: 航空便、ワンウェイ輸出、軽いもの、お店での展示用、ISPM 15を避けたいとき、コスト最優先のとき。
- 値段の目安: とても安い 4。
ポイント: ISPM 15が不要なのはプラ、合板、段ボールの大きなメリットですが 16、それだけで選ぶのは危険です。湿気に弱い段ボールを船便で使ったり、高価なプラパレットが予算に合わなかったり…。それぞれの特徴と、あなたの荷物や輸送方法、予算をよく考えて選びましょう。環境への配慮(サステナビリティ)も考える必要があります。木は再生可能 32 ですが捨てるのが大変なことも 18。プラはリサイクルできますが 18 石油から作られます 19。段ボールはリサイクルしやすいですが 4 丈夫ではありません。どれが一番環境に良いかは、状況によります。
表1:パレット素材 かんたん比較
比べること | 木製 (要熱処理) | プラスチック | 合板 | 段ボール |
ISPM 15 | 必要 16 | 不要 16 | 不要 16 | 不要 16 |
丈夫さ | ◎ 18 | ◎ 18 | 〇 16 | △ 4 |
重さ | △〜✕ 18 | ◎〜〇 18 | ◎〜〇 16 | ◎ 4 |
湿気に強い? | △ (未処理) 15 | ◎ 18 | 〇 (木より良い) 16 | ✕ 4 |
清潔さ | △ (洗えない) 15 | ◎ (洗える) 18 | 〇 (表面なめらか) 48 | 〇 (使い捨て) 18 |
繰り返し使える? | 〇 (修理できる) 34 | ◎ (長持ち) 21 | △〜〇 16 | △ (主に使い捨て) 4 |
修理できる? | ◎ 18 | ✕ 18 | △ | ✕ 18 |
サイズ自由? | ◎ 18 | △ (金型必要) 18 | 〇 16 | ◎ 4 |
最初の値段 | ◎ (安い) 18 | ✕ (高い) 18 | 〇 (普通) 22 | ◎ (とても安い) 4 |
トータルコスト | 〇 45 | ◎〜〇 38 | 〇 | △ (使い捨てで買う回数多い) |
環境メモ | 再生可能, 捨てるの課題 18 | リサイクル可, 石油由来 18 | 木材利用, 加工あり | リサイクル◎, 弱い 4 |
弱点 | ISPM 15, 湿気, カビ, ささくれ 15 | 値段, 修理不可, 温度 18 | 丈夫さ(木より), 湿気(長く) 16 | 丈夫さ, 湿気 4 |
主な輸出用途 | 一般貨物, 重いもの, 安さ重視 | 食品, 薬品, 化学品, 航空便, 清潔さ重視, 繰り返し利用 | ISPM 15回避, 紙製品, 電子部品, 航空便 | 航空便, 使い捨て, 軽いもの, ISPM 15回避, 安さ最優先 |
(凡例: ◎ とても良い/適している, 〇 良い/適している, △ 普通/条件による, ✕ あまり良くない/適していない)
第3章:「ISPM 15」って何?木製パレットのルール
3.1. ISPM 15とは?
簡単に言うと、「木製パレット(木箱なども)で、害虫が国境を越えて広がらないようにするための国際ルール」です 9。世界共通のルールです 55。
3.2. なぜ必要なの?対象は?
生の木材には、他の国の森林に被害を与える虫などが隠れている可能性があります 9。そのため、厚さ6mmを超える木材で作られたパレットや木箱、貨物を固定する木材(ダンネージ)などが、このルールの対象になります 12。
3.3. 対象外のものは?
- 加工された木材: 合板、パーティクルボードなど、作る過程で熱や圧力が加わり、虫が生きられない状態になっているもの 16。だから合板パレットは対象外!
- 薄い木材: 厚さ6mm以下のもの 50。
- 木材以外: プラスチック、段ボール、金属など 16。
3.4. ルールを守るには?
木製パレット(無垢材)を使う場合、輸出前に以下のどちらかの承認された処理が必要です。
- 熱処理 (Heat Treatment, HT): 木材の中心温度を最低56℃で最低30分間保つ処理 9。
- 臭化メチル燻蒸 (Methyl Bromide, MB): 特定の基準で燻蒸する処理 9(ただし環境への影響から減る傾向)。
- フッ化スルフリル燻蒸 (Sulphuryl Fluoride, SF): MBの代わりの燻蒸処理 12。
処理の前に、木の皮は基本的に取り除く必要があります(小さな皮は残っていてもOKな場合あり) 9。
処理が終わったら、決められたマーク(IPPCマーク、国コード例:VN、業者番号、処理方法コードHTなど)をパレットの見やすい場所(通常2か所以上)に、消えないように表示します 9。手書きはダメです 49。赤やオレンジ色は避けましょう 49。
3.5. ベトナムからの輸出では?
ベトナムから木製パレット(無垢材)を輸出する場合、ほとんどの国がISPM 15を要求しているので 54、基本的にこのルールに従う必要があります 29。処理やマーク 8 がちゃんとされていないと、相手国で荷物が止められたり、追加処理されたり、送り返されたりして、余計な費用と手間がかかります 9。このリスクと手間を考えると、ISPM 15対象外の合板、プラスチック、段ボールパレットを選ぶのも一つの手です 16。
第4章:パレットの形も大事!
素材だけでなく、パレットの形(デザイン)も、運びやすさや保管のしやすさ、コストに関わってきます。
4.1. 基本的な形(構造)
- ブロックパレット: 9個くらいのブロック(角材)で天板と底板(または桁)を支えるタイプ 60。
- 素材: 主に木材 60 やプラスチック 59 で作られます。複合材も使われます 60。
- 特徴: 一般的に頑丈で 60、通常、四方向からフォークリフトを入れられます(四方差し) 59。重いもの向き 60。ヨーロッパや一部の大手小売店でよく使われます 61。ストリンガーパレットより重く、高価になる傾向があります 63。
- ストリンガーパレット: 2~3本以上の長い板(ストリンガー)で天板と底板(または桁)を繋ぐタイプ 61。
- 素材: 主に木材 60 で作られますが、プラスチック 66 や複合材 60 もあります。
- 特徴: 基本的なものは二方向からしかフォークを入れられません(二方差し) 60。ストリンガーに切り込み(ノッチ)を入れて四方向から入れられるようにしたものもあります 60。ブロックパレットより軽く、安いことが多いです 62。北米で一般的です 61。ノッチを入れると強度が少し落ちることがあります 68。
- ペリメーターベース(額縁)パレット: 底の板がぐるっと四方を囲んでいるタイプ。
- 素材: 木材やプラスチックで見られます。
- 特徴: ラックに置いたり、段積みしたりするときの安定性が高まります 63。
- スキッドパレット: 底板がなく、荷物を載せる天板と脚(桁やブロック)だけのシンプルな形 37。
- 素材: 主に木材 37 で作られます。
- 特徴: 安くて軽いですが、段積みの安定性は低く、コンベアやラックに合わないことも 70。重い機械や、使い捨て(ワンウェイ)輸送によく使われます 70。
4.2. フォークの差し込み口(エントリー)
- 二方差し (Two-Way Entry): フォークを二方向(通常は長辺側)からしか入れられないタイプ 37。
- 素材: 基本的な木製ストリンガーパレット 61 や一部の木製スキッドパレット 70 に多い設計です。
- 特徴: 構造がシンプルで、ストリンガー方向の強度は高い場合があります 74。作業の自由度は低いです 70。
- 四方差し (Four-Way Entry): フォークを四方向(前後左右)から入れられるタイプ 37。
- 素材: 木製・プラスチック製のブロックパレット 59 の標準的な設計です。木製ストリンガーパレットでもノッチを入れたり 60、ブロック構造にしたり 72 することで可能です。段ボールパレットも四方差しにできます 51。
- 特徴: 倉庫やトラック、コンテナでの作業がとてもしやすくなります 22。ただし、頑丈な二方差しより強度が少し劣ることもあります 76。
4.3. 荷物を載せる面(デッキ)
- オープンデッキ(すのこ状): 天板の板と板の間に隙間があるタイプ 77。
- 素材: 木製パレットで非常に一般的です。プラスチックパレットでも格子状などのオープンデッキデザインがあります 63。
- 特徴: 木製の場合、軽くて安く、風通しが良いです。プラスチックの場合も軽量化に貢献します。ただし、小さいものや不安定なものは隙間に落ちたり、うまく乗らなかったりする可能性があります。
- クローズドデッキ(平ら・密閉型): 天板が隙間のない一枚板か、ぴったりくっついた板でできていて、表面が平らなタイプ 67。
- 素材: プラスチックパレット 67 や合板パレット 6 でよく見られます。木製でも可能です 67。段ボールパレットも通常はこのタイプに近い平らな表面を目指します。
- 特徴: 小さいものや形が不規則なものもしっかり支えられ、掃除もしやすいです 67。オープンデッキより重く、高価になる傾向があります。
- 単面形(片面使用形): 荷物を載せる天板だけがあるタイプ 37。
- 素材: 木製のスキッドパレット 37、一部のプラスチックパレット(ネスティング可能なものが多い) 42、段ボールパレット 4 がこれにあたります。
- 特徴: 一般的に軽いです。
- 両面形(リバーシブル/ノンリバーシブル): 天板と底板の両方があるタイプ 22。
- 素材: 木製 37 やプラスチックパレット 61 で見られます。
- 特徴: リバーシブルは上下どちらでも荷物を載せられます 63。ノンリバーシブルは通常、片面だけが荷物用です 63。単面形より丈夫で安定しており、特に段積みに向いています 67。
- 段ボールパレットのトレイ型: 段ボールは加工しやすいため、パレットの天板部分が浅い箱(トレイ)のような形状になっているものや、パレットとトレイが一体化した設計のものもあります 51。これにより、細かい部品の整理や、特定の製品(青果物など)の輸送に適した形を作ることができます 78。
4.4. 特別な機能
- ネスティング可能 (Nestable): 空のパレットを重ねると、入れ子になってコンパクトに収納できる設計 41。
- 素材: 主に軽量なプラスチックパレット 41 や段ボールパレット 41 に見られます。
- 影響: 保管スペースや返送コストを大幅に節約できます。ただし、重いものをラックに置くのには向かないことが多いです。
- スタッキング可能 (Stackable): 荷物を載せたまま、安全に他のパレットの上に積み重ねられる設計(丈夫さと安定した底面が必要。両面形やペリメーターベースが有利) 41。
- 素材: 丈夫な木製 41 やプラスチックパレット 77 に多い機能です。段ボールパレットも、トレイと一体化するなどして段積み可能な設計があります 51。
- 影響: 倉庫の縦のスペースを有効活用できます。
- ラック格納可能 (Rackable): 倉庫の棚(ラック)にそのまま安全に置ける、十分な強度と適切な底面構造を持つ設計 77。
- 素材: 特定の設計の木製パレット 42 やプラスチックパレット 42 に見られます。
- 影響: 高密度な保管が可能になります。自動倉庫では必須の条件です 83。
ポイント: パレットの形は、作業のスピード、倉庫のスペース効率、輸送効率、そして今ある設備(棚や自動倉庫など)との相性に直接影響します。例えば、四方差しならフォークリフト作業が楽だし 76、ネスティングできれば空パレットの保管場所が少なくて済みます 41。ラックに置けるパレットなら、倉庫を有効活用できます 83。パレットの大きさもコンテナやトラックにどれだけ積めるかに影響します 5。自動化されたシステムには、特定の形のパレットが必要です 83。だから、最初の値段や素材だけで選ばず、その形が作業や保管、輸送にどう影響するかを考えないと、後で困ることになります。
多くの場合、「作業しやすい形(四方差し、ネスティング)」と「丈夫さ(頑丈な二方差し、両面形)」は、どちらかを取るともう一方が犠牲になる関係(トレードオフ)にあります。四方差しは便利ですが 75、ノッチ付きの桁は弱くなる可能性があり 68、ブロックパレットは重くて高価になることがあります 63。ネスティングは場所を節約しますが 41、スタッキングやラックに置けるほど頑丈でないことが多いです。軽いパレットは輸送費を減らせますが 4、壊れやすかったり、重いものを載せられなかったりします 16。一番良い形は、どちらを優先するか、状況に合わせて決める必要があります。
第5章:パレット選び、ここをチェック!
最適なパレットを選ぶために、以下の点を考えましょう。
5.1. 荷物のこと
- 重さ・大きさ: 荷物の重さに耐えられる? 4 サイズは合う? 7 重いものには頑丈な木製やプラ製、ブロックパレットなどが良いかも 34。
- 壊れやすさ: 壊れやすいものは、平らな面(クローズドデッキ)でしっかり固定できるパレットを 1。ささくれの心配がないプラや合板が良いかも 19。
- 種類: 食品や薬品なら衛生的なプラパレット 16、紙製品なら滑りにくい木製や合板 22、化学薬品なら薬品に強いプラパレット 19、小さいものなら隙間のないクローズドデッキ 67、など。
5.2. 相手国のこと
- ISPM 15: 木製パレットを使うなら、相手国が要求しているか確認!(ほとんどの国が要求 8)。プラ、合板、段ボールなら不要 16。
- 好み: 国や会社によっては、特定のサイズや形(ユーロパレットなど)が好まれることも 61。ウォルマートやコストコなどはブロックパレットを指定することも 68。相手の設備に合うかも大事。
- その他ルール: リサイクル材の指定など、他のルールがないかもチェック。
5.3. 輸送方法
- 船便: 長旅で湿気も多い 2。丈夫で湿気に強いパレットを。木製ならISPM 15と湿気対策(バリア梱包、乾燥剤など)を忘れずに 2。コンテナスペースを有効に使えるサイズも重要 7。
- 航空便: 重さが運賃に響く!軽い段ボール、プラ、合板が有利 4。
- 陸送: 道が悪くても耐えられる丈夫さを(特にベトナム国内や近隣国 25)。トラックに効率よく積めるかも考慮。
5.4. 作業や保管場所のこと
- 使う機械: フォークリフトなどの機械に合う形(二方差し/四方差し 73、底の形)か?
- 保管方法: ラックに置くなら「ラック格納可能」 83、段積みするなら「スタッキング可能」 81 なものを。自動倉庫は特に条件が厳しい(プラパレットが好まれることも 18)。
- 環境: 暑い?寒い?(プラに影響 19)ジメジメしてる?(木、段ボールに影響 15)衛生的である必要は?(プラが有利 18)屋外?(プラ、処理済み木材など 4)それに合った素材を選びましょう。
5.5. お金のこと
- 買うときの値段: 段ボール < 木製 < 合板 < プラスチック の順に高くなる傾向 4。ISPM 15処理は木製のコスト増。
- トータルコスト (Lifecycle Cost, LCC): 買う値段だけでなく、何回使えるか、修理できるか、寿命、捨てる費用なども考えてみましょう 45。高くても長持ちするプラパレットの方が、結果的に安くなることも(特に回収できる場合) 38。木製は修理できることも 31。使い捨てか、繰り返し使うかで考え方が変わります。
- 輸送費: 軽いパレットは運賃節約に(特に航空便) 4。パレットの大きさや形(ネスティングできるかなど)も、輸送や保管の効率に影響します 5。
- 捨てる費用: 木製やプラは捨てるのにお金がかかることがあります 15。段ボールはリサイクルしやすい 4。プラのリサイクルは場所によります 18。金属は売れることも 20。
- 隠れたコスト: パレットが壊れて荷物がダメになったり 1、ISPM 15違反で遅れたり 9、形が悪くて作業が遅れたり 5…というコストも忘れずに。
5.6. 環境のこと (サステナビリティ)
- 素材: 木材は再生可能 32 だけど捨てるのが大変?プラは石油から 19?リサイクル材を使っている?(プラ 16、段ボール 15)
- 長持ち?: 長く使える方が、資源の無駄が少ない(プラや丈夫な木材 21)。
- リサイクルできる?: 捨てやすいか?(段ボール◎ 15、プラ・木は状況による 18)
- 環境負荷: 作る、運ぶ(重さ)、捨てる、全部でどれくらい環境に影響があるか。軽いものは運ぶときのCO2が少ないかも 4。
ポイント: パレット選びは、どれか一つだけ見れば良いというものではありません。安さだけを求めると、荷物が壊れるかもしれません 15。丈夫さを求めると高くなったり修理できなかったり 18。ISPM 15を避けても、選んだ素材が合わなければ意味がありません。作業しやすい形が、丈夫さやコストと引き換えになることもあります。ベトナムの気候やインフラも考えなければなりません。製品、行き先、運び方、作業・保管、お金、環境、ルール、全部を考えて、一番バランスの良いものを選びましょう。
第6章:ケース別!こんなときは、どのパレット?
いくつかの例を見てみましょう。あくまで参考なので、あなたの状況に合わせて考えてくださいね。
- ケース1:重たい工作機械を船で1回だけ送る
- 考えること: 重い、ISPM 15(木材なら)、丈夫さ、値段。
- 候補: 一番安いのは頑丈な熱処理済み木製パレット(ブロック型か丈夫なストリンガー型)かも 31。特注サイズが必要なことも 31。ISPM 15を避けるなら合板パレットも可能ですが、強度は要確認 33。プラは丈夫だけど高すぎることが多い。段ボールは無理。
- ケース2:電子部品を飛行機で送る(もしかしたらパレット回収するかも)
- 考えること: 重さは普通、壊れやすい、静電気?、航空運賃(軽さ!)、繰り返し使う可能性。
- 候補: 軽量プラスチックパレット(返送用にネスティング型も)は、保護、軽さ、再利用、ISPM 15不要で良い 18。使い捨てなら、段ボールパレットが一番軽くて安い(ISPM 15不要)けど、丈夫さは要確認 4。合板パレットも軽くてISPM 15不要 16。木製は重いかも。
- ケース3:加工食品を船で1回だけ、きれい好きな国へ送る
- 考えること: 清潔さ!、湿気に強いこと、ISPM 15(木材なら)、相手国の期待。
- 候補: プラスチックパレットが清潔さ、湿気、ISPM 15不要でベスト 18。合板パレットもISPM 15不要で木より清潔だけど、湿気にはプラほど強くない 22。熱処理済み木製パレットも可能だけど、清潔さと湿気対策が必要 3。荷物が完全に密閉されていれば段ボールパレットも考えられるけど、湿気のリスクは残る 4。
- ケース4:服などを船で送る
- 考えること: 軽いけどかさばる、引っかかりや湿気・カビで汚れるリスク、値段。
- 候補: コスパの良い熱処理済み木製パレットが一般的。ささくれがないか確認 19。合板パレットなら表面が滑らかでISPM 15も不要 22。段ボールパレットは安くて軽くてISPM 15不要だけど、湿気対策(服を袋に入れるなど)は必須 4。プラも使えるけど、高いかも。
6.3. クイックリファレンス比較表
表3:クイックリファレンス パレット選択ガイド
選択基準/シナリオ | 木製 (HT処理済) | プラスチック | 合板 | 段ボール |
重いもの | ◎ | ◎ | 〇 | ✕ |
軽いもの/航空便 | ✕ | 〇 | 〇 | ◎ |
清潔さ重視 | △ | ◎ | 〇 | △ (使い捨て) |
湿気に強い? | △ (処理による) | ◎ | 〇 | ✕ |
ISPM 15楽ちん? | ✕ (処理必須) | ◎ (不要) | ◎ (不要) | ◎ (不要) |
最初の値段 | ◎ (安い) | ✕ (高い) | 〇 (普通) | ◎ (とても安い) |
繰り返し使える?/トータルコスト | 〇 (修理できる) | ◎ (長持ち) | △ | ✕ (使い捨て) |
屋外で使える? | △ (処理による) | ◎ | △ | ✕ |
リサイクルしやすい? | △ (産廃扱い) | 〇 (場所による) | △ | ◎ (古紙) |
再生できる資源? | ◎ | ✕ | ◎ | ◎ (古紙由来) |
(凡例: ◎ とても良い/適している, 〇 良い/適している, △ 普通/条件による, ✕ あまり良くない/適していない)
結論
まとめ
ベトナムからの輸出で最適なパレットを選ぶことは、荷物を安全・確実・ルール通りに海外へ届けるための大事なステップです。このガイドでは、輸出梱包の基本、ベトナム特有の注意点、パレットの素材(木、プラ、合板、段ボール)の特徴とISPM 15ルール、そしてパレットの形(ブロック/ストリンガー、二方/四方差しなど)が作業や保管、輸送にどう影響するかを説明しました。
「考えて選ぶ」ことの大切さ
最終的に、パレット選びは、荷物、行き先、輸送方法、作業・保管場所、お金(最初とトータル)、環境、ルールなど、たくさんのことを考えて決める必要があります。このガイドの情報や考え方が、ただ安いから、いつも使っているから、という理由ではなく、それぞれの輸出に本当に合ったパレットを、理由を持って選ぶ手助けになれば嬉しいです。しっかり考えてパレットを選べば、コスト削減、品質維持、ルール違反防止、そしてお客さんの満足につながり、あなたのビジネスの成功を後押しします。
時々、見直そう
市場やルール、技術、お客さんの要望は変わっていきます。一度選んだパレットがずっとベストとは限りません。新しい製品を扱うようになったり、新しい国へ輸出したり、ルールが変わったり、作業方法が変わったりしたら、パレット選びも定期的に見直して、その時のベストを探すことをお勧めします。